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介護の本書評「review-kaigo」

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第62回 有料老人ホームがあぶない

高齢者住宅事業は崩壊の危機にある!

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有料老人ホームがあぶない―崩壊する高齢者住宅事業
濱田 孝一

内容

2008年のリーマンショックによって、派遣労働者が職と住居を失い、路上生活者になっていることが問題視されました。この現象が高齢者住宅にも起こる可能性があると本書は警告している。本書では、現在の問題を整理して高齢者住宅大量倒産を回避し、優良な高齢者住宅を供給できるかどうかによって、21世紀の日本が安心で住みやすい国になれるかも見えてくるという。

書評

現在、高齢者住宅事業は、非常に不安定な状況にあるという。数年後には、経営が立ちゆかなくなり、事業継続が困難になると予測される有料老人ホームが多数あるというのだ。万が一、倒産という事態になれば、自宅を売却して入居した高齢者たちは、行く先を失ってしまう。高齢者住宅事業は規制緩和の隙間をぬって生まれたベンチャー企業や異業種からの参入も多い。そのために、このような大きなリスクが生まれていると筆者は語る。

これらの問題は、“現在発生している現象”ととらえていてはいけないという。なぜなら、これから高齢者が増加する中で、上記のような危機に対する対応は、まだ何も始まっていないからだ。しかも、これらの対応が遅れれば遅れるほど、歪みは拡大する。

この高齢者住宅が抱える問題は、決して対岸の火事ではない。現在の日本社会、日本経済が抱える問題と同じなのだ、と筆者は綴っている。この課題をクリアできるかどうかが、日本が安心して暮らせる社会になるかどうかの試金石なのだ。

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