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介護の本書評「review-kaigo」

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第60回 わが家の母はビョーキです

統合失調症の大好きな母と過ごす、泣き笑い人生を描く。

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わが家の母はビョーキです
中村 ユキ

内容

「統合失調症」という病気をご存じだろうか。昔は「精神分裂症」という名前が付いていた病気だ。なんと100人に1人の割合で掛かる可能性があるというこの病気。漫画家の筆者が、統合失調症の母親と過ごしてきた31年の日々をマンガで分かりやすく、コミカルに描いている。

書評

うつ病が「心のカゼ」と言われるようになり、多くの人にその病状や原因などが知られるようになった現在。だが、ほかの心の病気、例えば「統合失調症」などは、まだまだ一般の認知が低いのが現状だ。

本書を書いた作者自身も4歳の時から親が精神病院に通院していたにもかかわらず、「統合失調症」がどんな病気なのか、最近まで知らなかったという。また、「正しい情報を持っていれば、もっと早く対処できていたのに」と後悔の念と悲しい気持ちでいっぱいになるという。筆者は自身の体験を赤裸々に描くことで「統合失調症=怖い病気」というイメージを与えたらどうしよう、と悩んだという。それでも描くことにしたのは、放置したり隠したりしていては何の解決にもならないことを身をもって実感していたからだという。

家族が社会から孤立してしまうこと、それが一番の苦しみであり、この本を通じてそうした人が一人でも少なくなることを筆者は願っているのだと感じた。

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