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介護の本書評「review-kaigo」

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第49回 親の捨て方

なぜ、老人ホームが“現代の姨捨山”と呼ばれてしまうのか?

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親の捨て方―愛憎にまみれた13人の介護記録
高齢者を考える会

内容

介護をしている、あるいは介護を終えた人の多くが、一度は「いい加減に死んでくれ!」「捨てられるものなら捨ててしまいたい」と願った経験があるという。「有料老人ホームに入れること=親を捨てる」ことなのか、13人の介護経験者の取材を通じて、日本が抱える介護問題を浮き彫りにする。

書評

世界で最も豊かな国の一つである日本の老後は、非常に悲惨なものだという。筆者は介護保険制度によって、国が国民に介護を押しつけたのが原因だ、と。国民の平均寿命が延び続ける中で、望むと望まざるとに関わらず介護される、介護するという状況が生まれる。

筆者は、13人の介護経験者の介護を詳細に取材し記録している。だが、取材した多くの人が編集段階になって掲載を断ってきたという。介護は一家の恥なのだろうか?人は何に対して恐れを抱き、苦悩しているのだろうか?

筆者は、介護に直面する人々の多くが体力的、精神的、経済的な困難にもがき苦しんでいるのはもちろんだが、それ以上に人間関係のもつれに苦しんでいるからだろうと語っている。本書を読むことで、介護という大変な出来事の向こう側に見える、美しさや充足感のようなものも描かれている。

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