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介護の本書評「review-kaigo」

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第34回 親の「ぼけ」に気づいたら

早い段階で「ぼけ」に気づけば、方法はあります。

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親の「ぼけ」に気づいたら (文春新書)
斎藤 正彦

内容

本書は、「自分の親が痴呆性疾患になったとき、どう対処したらよいか『考える』」をテーマとして企画された。人の数だけ個性があるように、患者の数だけ症状があるという痴呆性疾患。絶対にこうすればよい、というマニュアル的な解決方法はないなかで、家族である患者の状態に「どう付き合うか」考える手がかりが解説されている。

書評

本書が目指すのは、痴呆性疾患患者の対応方法を解説するマニュアル本ではない。痴呆症状というハンディキャップを持つ家族の人生をどう支援していくか、という考え方が基本だ。

本書は、一人のアルツハイマー型痴呆と診断された男性の経過を中心に、その経過に沿って解説を読むことで、痴呆症状という障害のあり方を知り、対処方法の手がかりとなる考え方、補助具、介護方法などのヒントが書かれている。痴呆性疾患の介護は、あくまで病気になった患者を援助することであり、身のまわりの世話を引き受けることではない、とも。

本書を読むことで、介護はつらく苦しいものではなく、客観的な知識と観察力があれば、工夫によって創造的な介護ができるということを一人でも多くの人に知ってもらえればと思う。

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