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【お悩み104】初めての要介護認定で「要介護3」となった父。ケアマネジャーが見つからないので、サービスが利用できない。

【お悩み104】初めての要介護認定で「要介護3」となった父。ケアマネジャーが見つからないので、サービスが利用できない。のイメージ

私の父は88歳。年々、認知症の症状が強くなっており、実家で同居している母(76歳)も愚痴をこぼすことが増えてきました。「お父さんのことは最後まで私が面倒を見る」という母に対して、ここ数年「介護保険のサービスを使って負担を減らそう」と説得してきたんですが、ようやくそれが実り、要介護認定を申請。「要介護3」となりました。

地域包括支援センターで「ケアマネジャーが不足しているので、決まるまでに時間がかかる可能性が高い」「少しでも早く、多くの居宅介護支援事業所に連絡して、ケアマネジャーを決めたほうが良い」と言われ、センターでもらったリストをもとに何件も電話しているんですが、「今は空きがありません」「現在の利用者さんのなかで施設に入る人が出たら空くので、しばらく待ってください」などと言われ、認定から1カ月以上経ってもケアマネジャーが決まりません。

このままでは介護保険サービスの利用ができないので、地域包括支援センターのほうでケアプランを作ってもらえないか相談したんですが、「うちも人数が足りないから」「こちらからも居宅介護支援事業所に話してみますね」と言われ、かわされてしまいました。

母から、地域包括支援センターや介護事業所との交渉役を行っている私に、毎日のように不満をぶつけられています。

そんななか、地域包括支援センターの担当者から、「現在、特別養護老人ホームで空きが出ている。今すぐ入所することもできるが、どうしますか?」との連絡が来ました。

早速、母に話をしたところ、「なんで急に施設なんて話になるの?」「お父さんがかわいそう」「結局、私がひとりで面倒見ろってことなのね!」と怒りだしてしまいました。

今後、どのようにしたら良いのか、悩んでいます。

数年かけてお母さんを説得し、要介護認定の申請までこぎつけられたとのこと。相談者さんの根気強い努力があってこその「要介護3」です。その努力を、まずはご自身でも認めてあげてください。

そのうえで、今の状況をどう考えればよいか、順にお話しします。

■ケアマネジャーが決まらないのは、相談者さんのせいではありません
最初にはっきり言います。ケアマネジャーが1カ月以上決まらないのは、相談者さんの交渉力が足りないからではありません。

在宅介護を支えるケアマネジャーの不足は、現在、全国的に深刻な状況です。報道でも「ケアマネ探しに3カ月かかった」というケースが伝えられています。何件も電話をかけ、地域包括支援センターにも足を運ばれている。その行動自体は、まったく正しいものです。

ただ、ここから先も「電話をかけ続けるだけ」では限界があります。動き方を変える必要があります。

■お母さんの怒りの正体
「なんで急に施設なんて話になるの?」「お父さんがかわいそう」「結局、私がひとりで面倒見ろってことなのね!」……この3つの言葉は、一見バラバラですが、根っこは同じです。

お母さんは「最後まで私が面倒を見る」と誓いました。その誓いが限界に近づいていることを、お母さん自身が一番よくわかっている。そこへ施設の話が来た。だからお母さんには「あなたの介護はもう無理だ」と宣告されたように聞こえてしまった。「自分の献身が否定された」と感じてしまったのです。

そして最後の一言。「結局、私がひとりで面倒見ろってことなのね」……これは怒りの言葉ではなく、悲鳴ではないでしょうか。「私も限界なのに、誰も助けてくれない」という叫びのように聞こえます。相談者さんに対して毎日のように不満をぶつけてくるのも、ストレス発散ではなく、「聞いてほしい、わかってほしい」というSOSでしょう。相談者さんからしたら、とてもツラいとは思いますが。

今、必要なのは、お母さんに「在宅か施設か」の2択を迫ることではないと思います。「お母さんを一人にはしない」というメッセージを、言葉と行動の両方で示すことをオススメします。

■お母さんへの伝え方
ストレートに「特養に入れよう」と言わず、こう伝えてみてください。

「施設の話は、母さんひとりに押しつけるためじゃない。母さんが倒れたら、父さんが一番困る。だから選択肢を全部、机の上に並べたいだけなんだ。見たうえで断ってもいい。ただ、今断ると次にいつ空くかわからないから、それだけは知っておいてほしい」

そのうえで、「一度、見学だけ行ってみない?」と提案してみましょう。

見てから断るのと、見ずに断るのとでは、後々の後悔がまったく違います。見学に行けば、ほかの入所者さんやスタッフさんの表情、衛生状況、食事の内容、費用、医療対応、認知症への対応、面会のルールなど、具体的なポイントを確認できます。それを知ったうえで「やっぱり家で」と決めるなら、それはそれで、ひとつの決断です。

■なぜ「今」が特養入所のチャンスなのか?
地域包括支援センターから「空きが出ている」と連絡が来たのには、背景があります。

地域差はありますが、近年、特別養護老人ホームで空室が出ている施設が増える傾向にあります。都市部と地方で待機者数に大きな格差があり、地方では定員が埋まらない施設も出てきています。

そして、ここが重要です。2027年4月の介護保険制度の改定で、特養の入居要件が「要介護3以上」から「要介護1以上」に引き下げられるとの予測が強まっています。もしそうなれば、それまで入れなかった要介護1~2の方々が一斉に対象となり、空室は急速に埋まっていく可能性が高くなります。

つまり、今は「要介護3以上の方だけが特養に入れる」、比較的空きのある時期なのです。ある意味では、今が入所のチャンスだと言えます。

繰り返しますが、これは「お父さんを施設に押し込もう」という話ではありません。「今なら、選択肢が手元にある」という事実です。この事実だけは、冷静にご家族で共有しておく価値があります。急いで決める必要はありませんが、軽く流してしまうのも惜しいと思います。

■在宅介護を続けたい場合の、4つの対策
お母さんとの話し合いの結果、在宅介護を選ぶことになった場合でも、ケアマネジャーが決まるのをただ待ち続ける必要はありません。次の4つを、上から順に試してください。

【対策1】暫定ケアプランを、地域包括支援センターに強く依頼する
ケアマネジャーが決まっていなくても、「暫定ケアプラン」という仕組みを使って介護保険サービスの利用を開始することができます。

過去に「うちも人数が足りないから」とかわされてしまったとのことですが、もう一度、今度ははっきりとした言葉で依頼してください。「お願いします」だけでは、また流されてしまう可能性が高いです。
伝えるべきことは、次の通りです。
 ↓
・父は「要介護3」で、認知症の症状が強い
・同居の介護者である母は76歳で、疲弊している
・認定から1カ月以上、ケアマネジャーが決まらず、サービスが一切使えていない
・暫定ケアプランでの対応をお願いしたい

「暫定ケアプラン」という制度名をこちらから出すこと。これが大事です。そのうえで、「いつ、誰に、何を依頼したか」を必ず記録に残し、繰り返し要請してください。それでも動いてくれない場合は、地域包括支援センターの上位にあたる、市区町村の介護保険課(高齢福祉課などといった名称の場合も)に直接相談してください。

さらに言えば、主治医から介護保険課や地域包括支援センターに「暫定ケアプランづくりに協力してやってほしい」と連絡してもらうと効果が大きいはずです。

【対策2】近隣の市区町村の事業所も当たってみる
居宅介護支援事業所は、必ずしも同じ市区町村内である必要はありません。特に市区町村の境界付近にお住まいなら、隣の市の事業所のほうが空いていることは珍しくありません。

地域包括支援センターでもらったリストの外にも、選択肢はあります。

【対策3】サービス提供事業者に、直接連絡する
これは意外なほど効果的です。

利用したいデイサービス、訪問介護、訪問看護、ショートステイなどの事業所に、直接電話をかけてください。そして、こう聞いてみましょう。

「ケアマネジャーがまだ決まっていないのですが、そちらのサービスを利用したいと思っています。空き状況を教えていただけますか。併せて、ケアマネジャーさんを紹介していただくことはできないでしょうか」

事業所にとっても、利用者さんを迎えることはありがたいことです。また、居宅介護支援事業所とサービス事業所が同じ法人で運営されているケースも多く、その場合はケアマネジャーの空きが出やすい傾向があります。事業所は地域のネットワークを持っています。ここから紹介してもらえるケースは少なくありません。

【対策4】最後の手段「セルフケアプラン」
上の3つの対策を試してもうまくいかない場合、ご家族やご本人が自分でケアプランを作成してサービスを利用することが、行政上認められています。これを「セルフケアプラン」と言います。

正直に申し上げると、これはかなり大変です。サービス事業所との調整、担当者会議の開催、毎月の利用票の作成と提出などを、すべてご家族が行うことになります。なので、これは恒久的な方法というより、ケアマネジャーが決まるまでの「緊急避難策」と考えてください。

そして大事なのは、セルフケアプランの作成支援も、地域包括支援センターに依頼できるということです。

「ケアマネジャーが見つからないので、セルフケアプランの作成支援をお願いします」と伝えてみてください。センター側も、ここまで言われると動かざるを得ません。

また「セルフケアプランのサポートをし続けるぐらいなら、より本腰を入れてケアマネジャー探しをしよう」と考えてくれる可能性も高いはずです。

■結論を急がず、でも動きは止めない
私からのアドバイスをまとめると、次の通りです。

特養の空きは、すぐに断らない。まずは見学と条件確認だけ行う。同時に、地域包括支援センターと市区町村の介護保険課に、「ケアマネジャーが未決定のため、介護保険サービスが使えていない困難事例」として正式に相談する。並行して、デイサービスやショートステイに直接連絡し、空き状況とケアマネジャー紹介の可能性を聞く。

そのうえで、お母さんには「施設に入れるかどうか」ではなく、「お母さんを守るために、在宅と施設の両方を比べてみよう」と伝えてみましょう。

在宅介護にこだわりすぎれば、お父さんより先にお母さんが限界を迎えてしまうかもしれません。逆に施設の話を急ぎすぎれば、お母さんの気持ちがついてきません。

だからこそ、在宅を支える体制の確保と、特養という避難先の確認を、同時並行で進める。これが現実的だと思います。

■最後に
ご相談者さんは、交渉役として矢面に立ち、お母さんの不満を毎日受け止めておられます。それは、とても消耗する役割です。

そこで相談者さんに、ひとつだけお願いがあります。お母さんの言葉を、全部背負い込まないでください。「お母さんも限界なんだな」と、少しだけ距離を置いて聞く。それは冷たさではありません。長く支え続けるために必要な、技術です。

「最後まで面倒を見る」というのは、お母さんがひとりで全部やることではありません。介護保険サービスを使うことも、施設を検討することも、お父さんを大切にする方法です。

在宅か施設かは、今すぐに決めなくても構いません。ただ、「特養の空きは今ならある」という事実と、「在宅介護を選んでも、4つ対策がある」という事実。この2つの事実を持ったうえで選ぶのと、追い詰められて選ぶのとでは、まったく違います。

どちらを選ばれても、それは間違いではないと思います。

とても詳しく、そして気持ちに寄り添っていただき、ありがとうございます。

まずは暫定ケアプランについて、地域包括支援センターに相談してみます。

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