「人としての尊厳」を大切に。
当たり前のことですが、認知症や身体の麻痺などによって介護が必要なお年寄りも、独立した人格をもった人間です。言動や行動に問題が現れようとも、周囲の人間がお年寄りの尊厳を粗末にすることはいただけません。
幼い頃の自分を親がどんな気持ちで育ててくれたのかを思えば、あなた自身がどのように振る舞えばいいのか、おのずとわかるはずです。状況に応じて、ときには優しく、ときには厳しく接しながらも、かけがえのない家族として向かい合う気持ちだけは忘れないようにしたいものです。
介護を受ける側の立場で考えてみよう。
「自分が介護を受ける」姿を想像してみてください。
あなたをお世話をしてくれる人が疲れた顔や不機嫌な顔をするのはとてもつらいはずです。もちろん、それを態度や言葉に出されるのはもっと悲しいことです。介護を受けることになった人は、けっして自分から望んでそうなったわけではありません。症状や性格などをしっかりと把握し、介護を受ける身になって接することが家族としての思いやりではないでしょうか。
難しいことをする必要はありません。自分がされてイヤなことはしない、自分がされて嬉しいことをする、まずはそこからです。
自分のペースを押しつけない。
介護が必要なお年寄りの場合、行動のペースやレベルが周囲と合わないことが少なくありません。1時間以上かけて食事をとったり、一度トイレに入ったらなかなか出てこなかったり、着替えをさせてもボタンを掛け違えてみたり……。
ついつい手を貸したくなるのをグッとこらえて、見守りながら良いところを見つけてあげましょう。
「今日は早く食べれたね。片付けが進んで嬉しいよ」という何気ない一言が、本人のやる気を高めるものです。急かしたり世話を焼きすぎたりして、大切な親の生活意欲を削いでしまっては、なんのための介護かわかりません。