
【第7回】同期の桜 (2006年7月16日)
〜特養でのタクさん【認知症末期】
昨日は仕事が休みだったので、いつもより早い時間に特養のタクさんの元へ。
3時のおやつの時間はかなり過ぎていたが、父だけはおやつの時間でした。←食べ終えてないってこと 手作り抹茶ムースと前に私が持参した「ふわふわどら焼き」の切り分け。 甘い物は大好き。でも、目の前のおやつに手をつけていない。不機嫌そうな険しい顔の父。 抹茶ムースが少しこぼれ、スプーンは床に落ちていた。スプーンが上手く使えないんですよね。
私の介助で食べるうちに、父の堅い表情も柔らかくなってきました。 父の好きなミルクティーを沢山飲んで、おやつが終わる頃には色々話もしてくれました。
機嫌が良いところで、私が父の好きな曲を歌いながら、父の手の爪切りをする。 数年前は、爪切りの意味が分かっていたので、「大丈夫か?指まで切るなよ。簡単でいいからな」 と、不安げにいつも言っていたものですが、今は爪切りすら分からないので不安な言葉は出ない。 その代わり、指を堅く握り締めたままだったり、私の手を掴んで離さなかったり、指を動かしたりで、やり難い。 そんな父にリラックスしてもらうため、「指が細くて綺麗だね」と言って、歌いながら切る。
足の爪も確認したかったが(爪水虫がある)、どう誘ってもスリッパを一向に脱いでくれなかったので、こちらは断念。 毎年夏は、水虫予防のため(昔から水虫体質)素足にスリッパ。 スリッパといっても、パタパタせず、普通のものより脱げにくい足に合ったホールディングタイプのもの。
爪切りが終わっても私は歌い続け、父の好きな軍歌「同期の桜」は何度も繰り返し歌いました。 父はこの曲を歌うのが得意で、1年位前までは歌えたのに、今年になってからは殆ど歌えなくなっていました。 数年前は「同期の桜」を大きな声でビブラート付きで「どうだ!上手いだろ!」と、家でもデイサービスでも歌っていたのですが。 歌わなくても、揉み手の手拍子で調子を合わせてくれてたものですが、それも最近はなく…。
「お父さんも一緒に歌ってね」と言いながら何度も「同期の桜」を歌っていたら、何とホント久しぶりに歌ってくれたのです! 「♪〜貴様と俺とは 同期の桜〜♪」と、歌の出だしだけでしたが聞こえる声で歌ってくれた!! ユニット内の職員さん二人もビックリして笑顔で振り返りました。 少しでも父が忘れないように、父が歌えなくなっても、父の好きな曲は、ずっと歌っていこうと、益々心に決めました。
その後も機嫌が良かった父は、父の好きな「東京音頭」を歌う私に「お上手!」と笑顔で言ってくれて、しかも、私の肩を撫で撫でしてくれたのです。 嬉しかったのなんのって(^-^) 最近はそんな言葉も態度もなかったのですから。
数年前は「お前も案外上手いな〜。今度一緒にデパートの屋上で歌って、金儲けしよう!」と言って、何時間も一緒に歌ったものでした。認知症になっても金儲け好きの父らしい発想(笑) 「カナダからの手紙」の平尾昌晃&畑中葉子じゃあるまいし(たとえが古過ぎ)、ボケ爺さんと古参娘とのデュエットなんて、誰も足を止めませんよね(笑)
(続く)
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