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親ケア奮闘記〜ある日、親が壊れた〜


【発端編・第10回】大阪での日々。

 

毎日の電話。


後ろ髪を引かれる思いで大阪に戻った私は、
また日常の忙しさに流されそうになりました。
仕事でまた新たに大きなプロジェクトを進めることになったのです。

それでもほぼ毎日、睡眠時間を削りながらも実家に電話をして、
母と会話をすることだけは欠かしませんでした。
あの血走った目を思い出すと、そうせずにはいられなかったのです。
「一日中、誰かが家の中を覗いている」
「裏の家の庭に近所の人たちがみんな集まり、夜通し歌ってばかりいる」など、
突拍子もない話題が多く、その都度、
「それは気のせいだから」などとなだめる日々。

私の中にあったかすかな希望のタネは、
母の声が直接会ったときよりも心なしか元気なように感じられることでした。
父に様子を尋ねると「少しずつだけど落ち着いてきている」とのこと。
不安はあったものの、その言葉を信じたくて仕方がなかったのも事実です。


心の病気って、どんなもの?


休日になると大型書店に足を運び、心の病気についての本を購入し、
母親に何が起こっているのかを一生懸命学びました。
自分の身のまわりにそんな事態が起きるなんて予想もしていなかったので、
そうした病気についての知識は無いに等しかったからです。

数々の本を読むうちにわかったのは、次のことでした。

・母親の症状は、どうやら「精神分裂病」というものに酷似している。
・この病気は1000人に7〜8人ぐらいがかかる、比較的ポピュラーなものらしい。
・ただ、一般的には10代後半から30代前半までに発症し、40代以降の発症は珍しい。
・この病気だとしても、最近は薬なども進歩しているので、
 専門医にかかれば症状が治まる可能性が高い。
・逆に、放置していて自然に病気が治る可能性はゼロに等しい。

母の自力での回復を信じたい、でも、もし精神分裂病なら、
なんとかして病院に連れて行かなければ……。
私のイライラが募るなかで年末が近づき、例年のように帰省する時期が近づいてきました。            (続く)

※当時はまだ「統合失調症」という言葉は、ほとんど使われていませんでした。

 

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