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親ケア奮闘記〜ある日、親が壊れた〜


【発端編・第8回】ベッドとベッドの間で。

 

つかの間の眠り。


風呂を出た私は、「おやすみ。母さんも早く寝て、身体を休めないと」と母に声をかけ、
2階にある自分用の部屋へ向かおうとしました。
しかし母は、「毎日、誰かわからないヤツらが家の中や外で騒いでいる。眠れるもんか」と言い、
リビングを落ち着き無くウロウロしています。

疲れてはいたものの、このまま母を放っておくわけにはいきません。
既に父はベッドに入り、イビキをかいていました。

「ちょっと待ってて」と母に声をかけ、2階から毛布と枕を取ってきた私は、
父のベッドと母のベッドの間の狭い隙間に身体を横たえ、そこで眠ることにしました。
「ほら、ここで一緒に寝てあげるから。何か気になることがあったら、いつでも起こして」
ちなみに私の身長は182cm。
寝返りを打つことはもちろん、身動きすらままなりません。

しぶる母をなんとかなだめ、ようやく横になってもらうことに成功した私は、
「ごめん……」と謝る母にいたわりの言葉をかけているうちに、
気がつけば眠りのなかに落ちていました。

夜中、トイレに起きた父が部屋中の明かりを付け、
それでも私に気がつかずに身体を踏みつけるまでの短い間でしたが。


朝の会話をさえぎる声。


翌朝、6時前に目覚めた私は、母のベッドに目をやりました。
そこにはカッと目を見開き、こちらを見ている母の姿。
どう見ても、熟睡できたようには思えません。

「少しは眠れた?」と聞くと、
「寝ているうちに、またヤツらがやってきて、電化製品をすり替えていった」との答え。
「すぐ横にいたけど、誰も来なかったよ?」と言っても、
「お前は寝ていたからわからないだけだ」と反論してきます。
「ほら、テレビもボロボロのものに換えられてしまっている」
「いや、これ昨日までと何も変わらないって」
こんな会話をしながらも私の頭の中は、
どうやったら元の明るく優しい母に戻ってくれるかでいっぱいでした。

「夏からずっとこんな感じなの?」
「……そうだ」
「家に来るヤツらが何者かはわからないの?」
「……うん」
「ご飯とかも、ちゃんと食べてないよね?」
「こんな目に遭っているのに、落ち着いて寝たり食べたりできるもんか」

「……母さん、やっぱり一緒に病院に行ってみない?」
そう声をかけた私の背後から、意外な言葉が聞こえました。            (続く)

 

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