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親ケア奮闘記〜ある日、親が壊れた〜


【発端編・第5回】母の告白。

 

どうすればいいんだろう?


やっとの思いで聞き出すことのできた母の話は、私の想像をはるかに超えたものでした。

「●●●●教と●●●●党と自衛隊と警察が手を組んで、自分たちを監視している」
「家中に隠しカメラや盗聴器が仕掛けられている」
「家の家財道具などが既に別のものにすり替えられてしまっている」
「エアコンや炊飯器が、急に自分の悪口を叫び出すものになってしまった」
「家財道具を返してもらうためには、近所の住人たちの家の風呂に入って回らないといけないが、
 そこには毒蛇がウヨウヨしていてつらくて仕方がない」
「毎日『殺されたくなかったら外に出てこい』と呼び出される」など、など、など……。

どうしよう? どうすればいいんだろう?
話を聞きながらも私は必死で答えを探しました。
しかし、ここまでの事態を予測できていなかったこともあり、
「いや、そんなはずは」「それはおかしい」など、
弱々しい否定の合いの手を入れるのが精一杯でした。
もちろん、そんなことで母の衝撃の告白が止まるはずもありません。


「父さんは既に殺されてしまった」


「父さんは既に殺されてしまった」と母が言い出したときには、
さすがに私も「いや、すぐ横に座ってるだろ」と反論しました。
しかし「お前は何もわかっちゃいない」と頭から否定されてしまいます。

そのとき、会話に加わることなくうつむいていた父が、
「ついこの間、母さんに『喪服を着ろ』と言われて、着替えさせられた。
 それで写真館まで車で一緒に行って葬式用の写真を撮影させられた……」と言いました。

「それだけのことがあって、俺が電話したときに『何も問題はない』って言ったのはなぜなんだよ!」
普段、滅多なことで声を荒げたりしない私ですが、このときばかりは大声で怒鳴ってしまいました。
しかし母に「シーッ! 静かにしないと、ヤツらに聞かれてしまう!」と制され、
私の心は怒りと困惑と不安感で訳のわからない状態でした。

一通り話を聞き終わり、母の精神状態が尋常ではないこと、
それに伴い、食事も満足にとっていないことがわかった私は、
病院へ一緒に行こうと母に伝えました。

「あんなところへ連れて行かれて何をされるのか、お前は知っているのか?」
私をにらみ付けた母の顔は、生まれてこの方見たことがないほどで、
思わず気圧されてしまうようなものでした。                 (続く)

 

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