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親ケア奮闘記〜ある日、親が壊れた〜


【発端編・第3回】痩せこけた母。

 

母が急激に年老いたように見えた。


数カ月ぶりに母と対面した私は、一瞬声を失いました。
母は身長150cmぐらいと小柄なほうなのですが、
体重はそれなりにあり、お世辞にも痩せ形というわけではありませんでした。
しかし、久しぶりにあった母は服の上から見てもわかるほどガリガリになっています。
頬もげっそりとしており、いっぺんに20歳ぐらいは老けたように思えました。
私に対していつものように「お帰り」と声をかけて微笑むこともできず、
何かに怯えるかのようにキョロキョロと周囲の様子を窺っています。

「母さん、大丈夫?」
口に出してはみたものの、どう考えても大丈夫なはずはありません。
父はといえば、「すいません……」とうなだれているだけです。
いつまでも鞄を抱えたまま立っているわけにもいかないので、
リビングのソファーに座るように両親を促したのですが、
まったく落ち着く様子のない母は、
小さな声で「帰ってきちゃいかん。早く逃げないと……」と繰り返しています。
何がなにやらわからないまま、母をなだめすかし、
3人並んで座るまでに小1時間はかかってしまいました。


どうしても会話が成り立たない……。


とりあえずこれまでの経緯を聞き出そうとしたものの、
母とは会話が成立しそうな気配がありません。
父に話を聞こうとしても、再び「すいません……」と力なくつぶやくのみ。
イラ立った私は、父に対し、
「すいませんじゃなくて、とにかく俺にわかるように事情を話せ!」と
きつく詰め寄ったのですが、
「みんな、ワシが悪いんです……」と頭を下げるだけで、どうにも要領を得ません。
そうしているうちに、母がまた立ち上がり、
家のなかをフラフラと歩き始めました。

「母さん、今、話をしているところだから、横に座って」と声をかけると、
一瞬だけこちらを振り返り、
「お前は何も知らんから、そんなことを言う」と言って、
リビングを出て行こうとします。
すぐに後を追い、肩に手をかけて「ちょっと待って。とにかく話をしよう」と言いながら、
少し強引に母を振り向かせたのですが、
至近距離で見た母の瞳は、わけのわからない力を感じさせるものでした。   (続く)

 

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